電験三種は実務経験なしでも受験できるのか?合格率20%の国家資格を取得する秘訣!
電験三種を取りたいけど、実務経験がないと受験できないの?
そんな疑問にお答えします。
結論から先にお伝えすると電験三種は、
実務経験ゼロでも受験することができ、合格すればだれでも免状が貰える国家資格
です。
実務経験は、
電験三種を認定取得するために必要な期間、または電気主任技術者として従事できるようになるための必要な期間
のことを言います。
なので、
実務経験は電験三種の受験には必要ありません。
電気関係の仕事をしていれば、
「電験三種には実務経験が必要」とか「電験三種があれば電気主任技術者になれる」
と耳にするかと思います。
電験三種を受験するために実務経験は必要なし。
実務経験は、
電験三種を認定取得するとき、電気主任技術者として従事するとき、
に必要となります。
電験三種を認定取得するための実務経験なのか、電気主任技術者として従事するための実務経験なのか、曖昧な意味合いで「実務経験」という言葉を使っている方が多いので注意が必要です。
ちょっとややこしいですよね。。。。
本記事では、
「実務経験」とは何か、電験三種の勉強方法や魅力
についてご紹介しています。
電験三種に挑戦している方、これから受験しようと考えている方は是非参考にしてみてください。
電験三種実務経験の基本知識|試験合格に実務経験は不要
電験三種は、
実務経験がなくても受験し免状を貰う
ことは可能です。
多くの人が勘違いしていますが、電気主任技術者第三種の国家試験を受験するために実務経験は一切必要ありません。
これは電気事業法で明確に定められており、学歴や年齢に関係なく誰でも受験できる制度となっています。
実際に毎年多くの学生や電気業界未経験者が合格を果たしており、適切な学習方法さえ身につければ十分に合格可能な資格です。
電験三種の受験資格に実務経験は必要ない理由
電験三種の受験資格に実務経験が不要な理由は、国家資格として公平性を重視しているからです。
電気事業法第44条では「年齢、学歴、実務経験等に関係なく受験できる」と明記されており、誰にでも平等にチャンスが与えられています。
たとえば、
高校生でも大学生でも、主婦の方でも受験可能
です。
これにより電気業界への人材確保と技術者育成を促進する狙いがあり、幅広い層からの挑戦者を受け入れる制度設計となっています。
試験合格と認定取得の違いとは?
電験三種取得には、
「試験合格ルート」と「認定取得ルート」の2つの方法
があります。
試験合格ルートは実務経験不要で筆記試験のみで資格取得でき、認定取得ルートは指定された大学や高等専門学校で電気工学を学び、卒業後に一定期間の実務経験を積むことで資格を得る方法です。
たとえば、
認定校卒業後、電気保安業務を行う会社に勤務 → 1年から5年の実務経験を積み、産業保安監督部に申請 → 電験三種の免状を貰う
という流れで電験三種を認定取得することができます。
認定取得の方が簡単じゃん!!!と感じると思いますがが、
条件を満たせばだれでも「認定取得」の申請をできるわけではない
ので注意が必要です。
私が勤めていた会社では、
会社が実務経験を認めてくれないので認定取得の申請ができない
という環境でした。
会社が認めない理由がこちら
- 電験三種を認定取得すると辞めてしまうから
- 本当に電験三種を必要とする社員(役職の高い年寄り)だけ認定取得の申請を認めている
- 若い社員は認定取得ではなく試験合格で取得するべき
電験三種を本当に必要とするなら、会社に頼るのではなく自力での取得がおすすめです。
実務経験なしで挑戦できる電験三種試験の概要
電験三種試験は理論、電力、機械、法規の4科目で構成される筆記試験です。
各科目60点以上で合格となり、科目別合格制度により一度に全科目合格する必要はありません。
合格率は約20%と決して高くありませんが、実務経験がない方でも工夫した学習方法と努力で合格できる内容になっています。
理論科目では電気回路の基礎計算、法規科目では電気事業法の条文暗記が中心となり、段階的な学習で着実に実力をつけることが可能です。
電験三種を実務経験なしで合格するための効果的な勉強法
実務経験のない方でも体系的な学習計画と適切な教材選択により電験三種合格は十分可能です。
重要なのは基礎から段階的に積み上げる学習スタイルを確立することで、特に数学や物理の基礎知識が不足している場合は補強から始める必要があります。
過去10年間のデータを見ると、独学合格者の多くが1000時間程度の学習時間を確保しており、科目別合格制度を活用して計画的に取り組んでいることが成功の秘訣となっています。
合格に必要な勉強時間1000時間の内訳と計画
電験三種合格には平均1000時間の学習時間が必要とされており、効率的な時間配分が合格の鍵となります。
理論250時間、電力200時間、機械300時間、法規150時間、総復習100時間という配分が一般的で、最も計算量の多い機械科目に最多の時間を割り当てましょう。
私は機械科目に苦手意識があったので、学習スタート時に機械科目だけを徹底的に勉強することに。
めちゃくちゃ頑張って機械科目の科目合格ができなければ諦めようという考えでした。
個人的な感覚ですが、
機械科目を合格できれば理論科目も合格できる
と思います。
1日2時間の学習なら約1年半、1日3時間なら約1年で必要学習時間1000時間に到達できます。
働きながらでも朝1時間、夜2時間の学習を継続させましょう。
科目別合格制度を活用した戦略的学習法
科目別合格制度は一度合格した科目が3年間有効になる制度で、戦略的に活用すれば合格率を大幅に向上できます。
私は、
1年目に機械と理論の2科目、2年目に電力と法規の2科目を狙う戦略で
勉強を進めました。
難しい計算問題が多い機会と理論を先にクリアし、楽な気持ちで暗記問題の多い電力と法規に臨みたい。
働きながら電験三種の取得を目指している方におすすめの戦略です。
文系出身者でも合格できる基礎からの学習ステップ
文系出身者でも段階的な学習により電験三種合格は十分可能で、まずは中学レベルの数学と物理の復習から始めることが重要です。
最初の3ヶ月で三角関数、複素数、微分積分の基礎を固め、次の3ヶ月でオームの法則やキルヒホフの法則などの電気回路基礎を学習しましょう。
たとえば、
「みんなが欲しかった! 電験三種
電験三種合格を目指すなら抑えておくべき3つのポイント
電験三種を本気で合格したい!と考えているなら以下のポイントは絶対に抑えておきましょう
- 自分に合った参考書を選ぶこと
- 最低でも1日10分の勉強時間を確保すること
- 絶対に諦めないこと
私は、電験三種の取得に7年もの時間を費やしました。
「4教科全部不合格」「2科目合格を流してしまう」など、
心が折れそうになったことは何度もあります。
しかし、
諦めずに毎年チャレンジし、なんとか合格することができました。
そんな私が電験三種学習を振り返って感じるポイントを詳しくご紹介します。
自分に合った参考書を選ぶ
参考書選びはとても重要です。
人気があり売上No1の教材を選ぶのではなく、解説や回答がわかりやすく感じるもの
を選びましょう。
理論科目や機械科目の過去問を解答を見ながら勉強しているとき、
「ここの途中計算のやり方、考え方が理解できないのに省略されてる!!なんでこの解答になるのかがわからん!!」
ということが多々ありました。
こんな問題を解決する方法が、
いくつもの参考書の解答ページを見比べて、解説がわかりやすいかをチェックすること
です。
ちなみに、過去問なら『電験3種過去問題集(電気書院)
わかりにくい途中計算を順序立てて解説してくれるのでめちゃくちゃわかりやすい。
参考書なら完全マスター電験三種受験テキスト
こんな細かい範囲まで解説してくれるの!!?というくらい細かい範囲を網羅しています。
完全マスターシリーズの参考書を使って学習していれば、今まで見たことのない問題が出題されることはなくなるでしょう。
最低でも10分の勉強時間を確保する
たったの10分でなにができるの?と感じるかもしれませんが、
10分あれば法規の重要ポイントを2回くらい頭の中で復習する
ことができます。
もちろん、初見の学習なら勉強時間10分は短すぎてほとんど意味がありません。
出題範囲を時間をかけて勉強し、内容の理解後、頭の中だけで復習してみてください。
10分あれば広範囲の復習が可能です。
仕事がどんなに忙しくても『10分間の復習』を毎日繰り返せば、単語や数値を忘れることはありありません。
合格まで絶対に諦めない
電験三種は「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目で構成されていて、広範囲から問題が出題されます。
全科目を1発で合格してしまう天才もいますが、私のような凡人にはハードルが高すぎです。
科目合格の制度を利用して少しずつ合格していれば、電験三種の取得は夢ではありません。
個人的に、
科目合格制度は途中で挫折するかどうかを見極めるためのシステムではないのか
と思っています。
どの科目も1度は科目合格をしたことがある。でも、2以上の科目を同時に合格することができず電験三種の取得が達成できていない。
このような方は絶対に諦めずに受験し続けてください。
既に電験三種取得のポテンシャルはあるので、複数科目で得意範囲が出題されれば合格間違いなし。
出題範囲の広い電験三種の試験は「忍耐」「継続」が大切です。
電験三種学習中の方は諦めずに受験し続けましょう。
電験三種合格後の実務経験積み方と就職・転職戦略
電験三種合格後、電気主任技術者として働くために実務経験を積む必要があり、就職・転職戦略が重要になります。
実務経験は産業保安監督部が認める高圧受電設備の保安業務を行っている会社で電気主任技術者の仕事をしなくてはなりません。
「電気主任技術者の指導の元、電気主任技術者の仕事をちゃんとやって経験を積みましたよー」
という証明書を会社が発行し産業保安監督部に申請。
産業保安監督部に承認されて、やっと電気主任技術者として仕事をすることができます。
資格取得後の年収は平均400万円から600万円程度で、経験を積むことでさらなる収入アップが期待できます。
また保安管理業務講習を受講することで実務経験期間を短縮でき、より早期に電気主任技術者としての独立開業も可能です。
電気主任技術者として働くために必要な実務経験年数
電気主任技術者として選任されるには実務経験が必要で、電圧区分によって必要年数が異なります。
500V以上1万V未満なら実務経験1年、1万V以上3万5千V未満なら2年、3万5千V以上17万V未満なら5年の実務経験が必要です。
たとえば、一般的なビル管理では1万V未満の設備が多いため、2年程度の実務経験で電気主任技術者として選任可能となります。
この期間中に電気設備の点検、保守、修理業務を通じて実践的なスキルを身につけましょう。
保安管理業務講習による実務経験短縮制度の活用法
保安管理業務講習は実務経験期間を短縮できる制度で、講習修了により必要な実務経験年数を半分に短縮することが可能です。
たとえば、受講することで通常2年必要な実務経験が1年に短縮され、より早期に電気主任技術者として独立できるとなります。
講習は電気保安協会などで実施されており、座学と実技を組み合わせた約1週間の集中講習となっています。
受講料は10万円程度必要ですが、独立開業までの期間短縮を考えれば十分に投資価値のある制度といえるでしょう。
電験三種を活かした就職・転職のポイントと年収相場
電験三種資格保有者の就職・転職市場での評価は高く、電気設備関連企業では重宝される人材となります。
初年度年収は350万円から450万円程度が相場で、実務経験を積むことで500万円から700万円まで収入をアップさせることが可能。
たとえば、電気保安協会への就職なら安定した収入と充実した福利厚生が得られ、設備保守会社なら幅広い現場経験を積むことができます。
転職活動では資格だけでなく、コミュニケーション能力や安全意識の高さもアピールポイントとして重要になります。
電験三種実務経験に関するよくある質問と解決策
電験三種と実務経験に関する疑問は多岐にわたり、特に資格取得後のキャリアパスや電気主任技術者としての働き方について不安を持つ方が多くいます。
実際には適切な情報収集と計画的なキャリア形成により、これらの不安は解決可能です。
認定校ルートとの比較、実務経験の積み方、将来性など、電気業界で長年働く専門家の視点から具体的で実践的なアドバイスを提供します。正しい知識を身につけることで、電験三種を最大限に活用したキャリア形成が可能になります。
実務経験なしでも電気主任技術者になれるのか?
実務経験なしでも段階的に電気主任技術者になることは可能で、まずは電気関連企業への就職から始めることが重要です。
電験三種合格直後は電気主任技術者として選任はできませんが、実務経験を積みながら着実にステップアップしていきましょう。
たとえば、
電気工事会社で施工管理補助から始め、設備保守業務を経験し、最終的に電気主任技術者として独立する
という道筋があります。
資格があることで、「企業に就職する」または「独立する」という選択肢が増え、自分のライフスタイルに合った働き方を選ぶことが可能です。
認定校卒業による取得方法のメリット・デメリット
認定校卒業による電験三種取得は実務経験が必須となるため、試験合格ルートと比較してメリット・デメリットが明確に分かれます。
メリットは大学での体系的な電気工学学習により深い理論知識が身につくこと、デメリットは卒業後1年から5年の実務経験が必要になることです。
たとえば、
電気工学科を卒業して電力会社に就職すれば実務経験1年で資格取得できますが、試験合格なら在学中でも資格取得が可能
ということです。
そのため多くの人が試験合格ルートを選択している現状があります。
電験三種取得後のキャリアパスと将来性
電験三種取得後のキャリアパスは多岐にわたり、電気業界での将来性は非常に高いといえます。
電気設備の保守管理、電気工事の監督、電力会社での系統運用、独立して電気保安業務、など様々な選択肢があります。
私は電験三種の取得後、電気主任技術者として独立。
年収は会社員の頃に比べて400万円から500万円くらいアップし、生活スタイルにあった時間に仕事をすることができるようになりました。
独立すれば必ず収入がアップするわけではないので注意してくださいね。
独立以外にも、大規模工場の電気主任技術者として年収800万円を得る人や、電気保安法人で管理技術者として活躍する人も多くいらっしゃいます。
今後も電気需要の拡大、再生可能エネルギーの普及、スマートグリッドの発展により電気技術者の需要は高まり続けるため、長期的に安定したキャリアを築くことができると感じています。